新品だと30万円以上もする憧れのビジネスPC、Panasonicのレッツノート。しかし、ネットで検索してみると「えっ、2万円?」と目を疑うような価格で販売されているのをよく見かけますよね。
あまりに安すぎて、「もしかしてすぐ壊れるんじゃないか?」「安物買いの銭失いになるのでは?」と不安を感じてしまうのは当然のことです。
実は、レッツノートの中古が安い理由には、企業のリース契約やWindowsの更新に関する明確なカラクリが存在します。ネット上の評判で見かける「やめとけ」や「ゴミ」といった過激な言葉も、その理由さえ正しく理解していれば、恐れる必要はありません。
大切なのは、リスクを避けて失敗しない選び方を知ることです。この記事では、専門店での賢い購入方法や、長く使えるおすすめのモデルについて、私自身の経験も踏まえて詳しく解説していきます。
- 新品価格の10分の1以下で買える市場の裏事情
- 「やめとけ」と言われる具体的な品質リスクの正体
- 長く快適に使うための「第8世代CPU」の重要性
- 失敗しないための専門店選びと検品ポイント
レッツノートの中古が安い理由と市場の仕組みを解説
なぜ、あれほど高価で頑丈なパソコンが、中古市場では驚くほどの低価格で投げ売りされているのでしょうか。ここでは、その根本的な原因である「法人市場の特殊なサイクル」と「技術的な世代交代」について、掘り下げて解説します。
法人リース落ちの大量供給が価格崩壊の主因

レッツノートが安い最大の理由は、製品の品質が悪いからではなく、「需要と供給のバランスが崩れているから」です。レッツノートのメイン顧客は、私たち個人ではなく、日本の大企業や官公庁です。
多くの企業はパソコンを購入する際、資産管理を楽にするために3年から5年の「リース契約」を結びます。そして、数千台規模で一括導入されたPCたちは、リース期間が満了すると一斉にリース会社へ返却され、その後中古市場へと放出されます。
企業側ですでに減価償却(費用の計上)が終わっているため、これらのPCの残存簿価は極めて低く、二束三文で中古業者へ引き渡されます。特に企業の決算期である3月や9月の直後には、まとまった台数のレッツノートが中古市場に流れやすい傾向があります。この「大量供給」こそが、価格下落を招いている大きな要因です。
Windows11非対応のSZ6が激安な訳
現在、中古市場で1万円台前半から手に入るのが、かつての名機「CF-SZ6」シリーズです。しかし、これには致命的な弱点があります。搭載CPUが「第7世代」であり、Windows 11の正規サポート対象外だという点です。
Microsoftは2025年10月14日をもってWindows 10のサポートを終了します。そのため、SZ6をWindows 10のままインターネットに常時接続して使い続けると、将来的にセキュリティリスクが高まる点には注意が必要です。
(出典:Microsoft『Windows 10 のサポート終了について』)
以前は「安さのSZ6、性能のSV7」という住み分けができていましたが、直近の相場下落により状況は変わりました。Windows 11に対応した「SVシリーズ」が2万円台から狙えるようになってきており、長く安全に使う前提であれば、あえてSZ6を選ぶメリットは小さくなっています。
以下の表を見てわかる通り、SZ6とSV7の価格差は数千円レベルまで縮まっています。この差額でOSの寿命と処理性能が手に入るなら、迷わずSVシリーズを選ぶべきです。
| モデル名 | CPU世代 | Win11 | 最新相場 | 推奨度 |
|---|---|---|---|---|
| CF-SZ6 | 第7世代 | × | 1.3万〜1.8万円 | ×(Win10のサポート終了が近く、長期利用には非推奨) |
| CF-SV7 | 第8世代 | 〇 | 2.0万〜2.8万円 | △(第8世代だが設計はやや古め) |
| CF-SV8 | 第8世代 | 〇 | 2.5万〜3.8万円 | ○(予算重視なら有力候補) |
| CF-SV9 | 第10世代 | 〇 | 3.5万〜5.0万円 | ◎(筆者的「2025年の本命」) |
液晶の黄ばみや白シミはゴミと言われる原因
レッツノートの中古を探していると、「画面に訳あり」という表記をよく見かけます。これはレッツノート特有の経年劣化で、画面の全体や端の方が黄色く変色する「黄ばみ(尿液晶)」や、白い斑点のような「白シミ(圧迫痕)」が出ている状態を指します。
これらは、満員電車での圧迫や、長年の使用によるバックライトの劣化によって発生する物理的な症状です。エクセルやメールの文字を読む分には機能的に問題ないことが多いですが、写真編集やデザイン作業をしたい人にとっては致命的です。
もちろん、これらはあくまで個々のユーザーの主観的な評価であり、実際には「見た目は気にしないから安い方がいい」というニーズも多く存在します。
レッツノートの中古はやめとけという評判の真実
「レッツノートの中古はやめとけ」という声が上がる背景には、ビジネスの最前線で酷使された個体の存在があります。企業戦士として3〜5年使い倒されたPCは、以下のような症状を抱えていることが少なくありません。
- キーボードが摩耗してツルツルにテカっている(文字が消えている)
- 冷却ファンから「ガラガラ」「ジー」という異音がする
- 外装の塗装が剥げてマグネシウムの地金が見えている
通販サイトの写真ではきれいに見えても、実際に届いたらボロボロだった…というギャップが、悪い評判に繋がっています。しかし、これは逆に言えば「状態の良いものを選べば、これほど頑丈で使いやすいPCはない」ということでもあります。リスクを知った上で選別できる人にとっては、宝の山なのです。
第7世代と第8世代は何年使えるかの決定的な差

ここが一番重要な技術的なポイントです。レッツノートの中古市場には、「第7世代CPU(SZ6など)」と「第8世代CPU(SV7以降)」という大きな性能の壁が存在します。
第7世代までのCPUは「2コア4スレッド」でしたが、第8世代からは「4コア8スレッド」へと倍増しており、代表的なベンチマーク(PassMarkなど)でもマルチスレッド性能が約1.6〜1.7倍に向上しています。
Web会議で背景をぼかしながらExcelやブラウザを操作するといった現代的な作業において、第7世代では動作がもっさりしてファンが唸りを上げますが、第8世代ならサクサク動きます。
価格差は1.5万円〜2万円ほどありますが、これから数年使うことを考えれば、Windows 11にも正規対応し、性能も段違いな第8世代モデルを選ぶのが圧倒的にコスパが良い選択です。
レッツノートの中古が安い理由を知り失敗しない選び方
安い理由が「大量供給」と「使用感」にあると分かったところで、次は「ハズレ」を引かずに長く使える良品を手に入れるための具体的な戦略をお伝えします。
失敗しないために専門店での購入を推奨する訳
私が中古PC、特にレッツノートを購入する際に最も推奨するのは、中古パソコン専門店での購入です。その理由は「検品の透明性」と「保証」にあります。
専門店(例えばQualit
やBeStock
など)では、「画面ランクB(薄いムラあり)」「外装ランクA(美品)」といったように、プロの目で見た状態を部位ごとに細かくランク付けして公開しています。また、独自のクリーニング技術で内部のホコリまで除去されていることが多く、故障リスクが低減されています。
| 購入先 | 価格 | 品質・検品 | リスク |
|---|---|---|---|
| 中古パソコン専門店 | 安〜中 | 高(ランク開示) | 低(保証あり) |
| Amazon整備品 | 安〜中 | 不透明 | 中(Office等) |
| フリマ・オークション | 最安 | 低(自己責任) | 高(ハズレ多) |
一方、フリマアプリなどの個人売買は、素人判断での「美品」であり、トラブルの元になりやすいため、初心者の方にはおすすめできません。
長く使うなら「CF-SV9」がベストバイ!その理由は?

「とにかく安く済ませたい」という方にとって、2万円台で手に入る「CF-SV8」は非常に魅力的な選択肢であり、決して悪い買い物ではありません。
しかし、もしあと1万円ほど予算が出せるのであれば、2025年時点の相場とスペックを踏まえ、私個人の結論としては第10世代CPUを搭載した「CF-SV9」が最もバランスの良い選択だと考えています。
2025年現在、市場には5年リースを終えたSV9が大量に流入し、価格がこなれてきました。これから3年、4年と快適に使い続けることを考えると、SV8との価格差(約1〜1.5万円)以上の価値がSV9には確実にあります。
- Wi-Fi 6 (11ax) 標準対応: これがSV8との最大の違いです。混雑したカフェやオフィスでも通信が途切れにくく、Web会議の安定感が段違いです。
- 第10世代CPUの省電力性: パフォーマンスが向上しているにもかかわらず省エネ設計が進んでおり、中古でもバッテリー持ちが良い個体に当たりやすい傾向があります。
- モダンな機能の標準化: USB Type-C(Thunderbolt 3)はもちろん、顔認証(Windows Hello)対応モデルも多く、毎日のログインが一瞬で終わります。
結論として、「今の出費を抑えるならSV8」、「将来の快適さを買うならSV9」というのが、2025年における失敗しない選び方です。
バッテリー劣化リスクと購入時のチェック項目

中古レッツノートの最大のリスクはバッテリーです。前のユーザーがデスクでACアダプタに繋ぎっぱなしで使っていた場合、過充電でバッテリー性能が著しく低下していることがあります。
残念ながらバッテリーは消耗品扱いとなり、多くの中古保証の対象外です。購入する際は、ショップの商品説明に「バッテリー完全消耗ではない」という記載があるか、あるいは「80%以上残存」などの表記がある個体を選ぶのが安全です。商品が届いたら、すぐに以下の手順で劣化度を診断しましょう。
- 検索バーに「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを起動。
- 「powercfg /batteryreport」と入力してEnterキーを押す。
- 指定された場所にHTMLファイルが保存されるので開く。
- 「DESIGN CAPACITY(新品時)」と「FULL CHARGE CAPACITY(現在)」を比較する。
Amazon整備済み品に潜むMicrosoft Officeの罠
Amazonで「Office搭載 レッツノート」と検索すると、2〜3万円でMicrosoft Officeが付いてくる商品が見つかりますが、これには細心の注意が必要です。
正規のOfficeライセンスはそれだけで数万円します。そのため、激安中古PCに付属しているOfficeの中には、企業のボリュームライセンスの切り売りや、開発者用ライセンスの不正流用といった違反ライセンスが紛れ込んでいるケースも少なくないと指摘されています。
こうしたライセンスは、ある日突然認証が停止されたり、セキュリティリスクを招く恐れがあります。
「WPS Office(互換ソフト)」なら問題ありませんが、「Microsoft Office Professional Plus付きで激安」といった商品は疑ってかかるべきです。
累積使用時間を確認してハズレ個体を避ける
レッツノートには、BIOS画面で「累積使用時間」を確認できる機能があります。これは車の走行距離のようなもので、中古選びの最強の指標になります。レッツノートの中古を選ぶとき、私は目安として次のように考えています。
| 累積時間 | 評価 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 3,000時間以下 | 極上品・大当たり | ★★★ |
| 3,000〜8,000時間 | 標準的な良品 | ★★☆ |
| 10,000時間以上 | 過走行気味・故障リスク増 | ★☆☆ |
電源を入れた直後にPanasonicのロゴが出ている間に「F2」キーを連打するとBIOS画面に入れます。そこの「メイン」タブに使用時間が表示されています。実店舗で買う場合は店員さんに頼んで見せてもらいましょう。
レッツノートの中古が安い理由を理解し賢く買う
- レッツノートの中古価格が安い主な理由は、法人リース満了品のまとまった放出と、Windows 11非対応の旧世代モデルが多く流通していることにあります。
- 「CF-SZ6」は安価で手に入る一方、Windows 10のサポート終了が近いため、長期利用を前提とするなら「CF-SV7」以降のモデルを選ぶのが無難なルートです。
- 見た目重視なら外装・液晶ともに状態の良いランクAを、コスパ重視なら画面ムラありのランクBなど、状態を開示している個体を狙うと失敗しにくくなります。
- 不正なOfficeライセンスが紛れ込むリスクを避けるため、Office付き激安品には注意しつつ、保証や検品内容が明示された専門店から購入するのがおすすめです。
レッツノートの中古が安い背景には、こうした明確な経済的・技術的な要因があります。その「安さの理由」が致命的な欠陥によるものでさえなければ、中古レッツノートは今でも心強いビジネスパートナーになり得ます。
ぜひ、自分の予算と使い方に合わせて、本記事のポイントを参考に最適な一台を選んでみてください。
もっとシリーズ別に比較したい方へ
「SVシリーズが良さそうなのは分かったけど、LVシリーズやSZシリーズとどう違うの?」
「3万円台〜5万円台で、どのシリーズ・画面サイズを選ぶのが自分に一番合っているんだろう?」
そんな疑問が出てきた方のために、レッツノートの歴代シリーズ(SV/SZ/LV/XZ/RZ)の特徴や選び方をまとめた記事も用意しています。
今回の記事では「中古が安い理由」と「3万円台で失敗しない基本の選び方」を中心に解説しましたが、シリーズごとの性格や向いている用途まで押さえておくと、より後悔の少ない一台を選べます。
購入前の最終確認として、ぜひあわせてご覧ください。
>>どこで買う?中古レッツノートのおすすめ機種と注意点【2025年版】


